解説塩酸事件~結婚

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美空ひばりは昭和31年の夏、沖縄で一週間にわたる公演を行い、沖縄に、空前絶後の美空ひばりブームと、戦後という時代の到来を知らせる形となりました。公演は、連日超満員で、沖縄の本島諸島合わせた人口の1割が、ひばり公演を、堪能したと言われています。沖縄の人たちは、何を歌っても哀切ただよういたいけな少女に自分達の立場を、重ね合わせたのかもしれません。 そして、まだ戦争から抜け出せない日常を送っている沖縄の人々は、華やかで、本格的な新しいスターの誕生に、日本の未来を、映しだしたようにも考えられます。それゆえに、ひばりの沖縄公演は、大盛況のうちに幕を閉じることになりました。

美空ひばりDVD:昭和の歌姫「美空ひばり」思い出のあの曲を:塩酸事件~結婚 しかし、日本各地で、ひばりフィーバーが起こっている時に、ひばり、に強い憧れを持っているからこそ、ひばりを傷つけてやりたいという、黒い感情を抱いてしまうファンもいました。
昭和32年、浅草国際劇場に出演中のひばりが、ファンの少女から塩酸をかけられ大けがする事件が起こりました。後の処置が幸いして、痕には残らずに済んだようですが、ひばり母子の、精神的ショックは相当なものだったようです。ファンを大事にし、ファンの為に歌っていると自負していただけにそのファンに裏切られた衝撃は計り知れません。

塩酸事件、そして三人娘の江利チエミ、雪村いづみが結婚し、ひばりが、ひとり悲しい思いをしていた矢先、運命の人に出会うことになるのです。

昭和36年、雑誌「明星」の対談で、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった小林旭と出会い、すぐに意気投合します。だいたいひばりが好感をもつと、一卵性母子と呼ばれる母、喜美枝も同じような感情を抱くのですが、小林旭に限っては少し事情が違っていたようです。好感どころか、ひばりが一気に旭にのめり込んだことを不安視し、周囲に旭について探りを入れたりしました。「お嬢(ひばり)が旭にとられてしまう」、そう思ったのでしょう。しかし、燃え上がった恋の炎は、誰にも止められず、喜美枝の不安をよそに、昭和37年婚約。
婚約後、ひばりと旭は、他に人がいてもお構いなしにイチャつき、周囲を驚かせたようです。二人の気持ちは、最高潮に盛り上がったまま、同年11月に結婚式を挙げます。

当時、肺を患って病院に入院していた増吉は、ひばりの結婚式に、出席することだけを、楽しみにしていましたが、その願いは叶うことなく、結婚した翌年、長年の愛人に見守られ、この世を去ることになりました。

美空ひばりDVD:昭和の歌姫「美空ひばり」思い出のあの曲を:塩酸事件~結婚 しぶしぶ二人の結婚に了承した、母、喜美枝でしたが、結婚によって、スターのひばりの品格を落とさないように、旭の仕事にも口を出しました。映画出演のギャラを、ひばりと同額にさせたり、 撮影所にスターよろしく付き人を付けさせ、絨毯の上を歩かせたり。どれもこれも、ひばりにふさわしい相手はこうあるべきだという信念から来るものでしたが、基本的に、喜美枝と旭はソリが合わなかったようです。

旭が、ひばりに黙って高級車を購入し、その支払いを、結婚式のお祝い金で、賄おうとしていたことが発覚し、ひばりと旭の仲は、新婚旅行から暗雲が立ち込めます。

新婚生活は、ひばりを、できるだけ家庭にいさせたい旭と、加藤家の大黒柱としての、ひばりの収入を減らしたくない喜美枝との水面下の争いでした。旭は、天下の美空ひばりが、自分のために尽くしていることに、例えようのない快感を覚え、ひばりに仕事の量を減らさせました。ひばりの仕事の内容にも、いちいち注文をつけ、演出で決まっていたラブシーンもクレームをつけたりするようになりました。

一方で、仕事を減らされては困るのは、喜美枝です。
結婚による仕事の制限、そしてそのことによる減収。ひばりは、加藤家を支えることのできる、唯一の稼ぎ頭なのです。ひばりと旭が住む「旭御殿」も、名義は二人ですが、実際は、加藤家が負担していました。さらに、生前増吉が始めて、哲也が後を継いだ土建業の経営も悪化、もう一人の弟、武彦の派手な遊び方による出費もかさんでいます。

そして旭の金遣いも、喜美枝の許せないことの一つでした。
ひばりの仕事を、セーブさせておきながら、自分でお金が必要となると、ひばりや喜美枝に無断で、ひばりの地方への興行権を売ったり、ひばりの妹の夫に借金を頼みに行ったりしていたのです。

ひばりの心にいつしか、旭への不信感が募り始めます。

表面では、仲睦まじく見せていた、ひばりと旭でしたが、本当は見せかけだけの生活だったのでしょうか。喜美枝も離婚へと導く行動をとり始めます。悉くひばりの前で、旭をののしり、旭と一緒にいれば、不幸になると吹き込んだようです。さらに、このままだと加藤家の暮らしが崩壊するかもしれないと、人一倍家族思いで責任感の強いひばりの不安をあおったのかもしれません。

娘の幸せより、家族の幸せ。
喜美枝は、自ら必死に作り上げた天下の「美空ひばり」を、ただの主婦にだけは、絶対にしたくなかったのでしょう。

喜美枝は、公然と一番最悪なことは、「旭と結婚したこと」、一番最高なことは、「旭と離婚したこと」、と公然と言い放ちました。この結婚は、最初から最後まで波乱万丈のまま、2年も持たずに終わりを告げることになります。

ひばりと旭の離婚は、旭の全く理解できないところで進んでいきます。
もしかしたら、何が本当の離婚の原因なのか、旭だけでなく誰一人知らないままなのかもしれません。二人が話し合って離婚を決めたわけではなく、旭が田岡組長からひばりの考えを聞き、理解した上での離婚=「理解離婚」と呼ばれたそうです。体裁上「理解離婚」と言ってのけましたが、旭は、田岡組長から泥仕合を避けるために、「今後、ひばりについて絶対にしゃべるな」と、 釘をさされていました。

ひばりもまた、離婚記者会見で、「芸を捨て、母を捨てることができなかった」と繰り返し、この先は仕事に生きることをアピールしました。

周到に準備されていた、離婚計画。
しかしもし、二人の結婚が周りにつぶされていなければ、その後のひばりの数々の名曲は、生まれなかったかもしれないということは皮肉なことです。



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